どんな治療、サポートがあるの?

どんな治療があるの?

高血糖をそのままほうってほくと、全身にさまざまな合併症が生じます。これらの合併症は無症状のまま少しずつ進んでいきますが、いったん進行してしまうと多くは元に戻すことはできず、重大な障害が残るなど、生活の質を低下させてしまいます。逆に糖尿病と診断されても、正常な人と同じように血糖がコントロールされていれば、合併症の出現、進行を抑えることができ、健康な人と変わらない生活を送ることができます。

糖尿病の治療の一番の目的は、血糖コントロールを良好に保つことで全身のさまざまな合併症の出現、進行を抑えることです。
糖尿病治療の3本柱は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」です。
食事療法・運動療法は特に重要で、これらで上手くいかない場合に薬物療法が必要となりますが、たとえ薬物療法を行っても、食事・運動がおろそかになれば血糖コントロールは悪化してしまいます。

食事療法

食事療法は、糖尿病治療の根幹を成すものです。どんなに強力な薬物療法を行っても食事療法が正しく行われなければ、糖尿病は悪化してしまいます。食事療法の基本は適正カロリーの摂取、バランスの良い栄養配分、規則正しい食生活です。

1日の摂取適正カロリーは以下の式で決定されることが基本となります。

1日の摂取適正カロリー = 標準体重 × 身体活動量

標準体重とは、最も疾患合併率が少ないとされる体重で以下の式で決定されます。

標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
(身長160cmの人の標準体重は・・・・1.6×1.6×22=56.32kg)

身体活動量とは体を動かす程度によって決まるエネルギー必要量(kcal/kg標準体重)で、以下を参考にして決定されます。
※ただし、肥満者の場合には、20〜25 kcal/kg標準体重として、体重の減少を目指します。

身体活動量の目安

軽労作(デスクワークが多い職業など)  25〜30Kcal/Kg標準体重
普通の労作(立ち仕事が多い職業など)  30〜35Kcal/Kg標準体重
重い労作(力仕事が多い職業など)  35〜 Kcal/Kg標準体重

糖尿病治療ガイド2016-2017 p41より引用

このようにして決定された適正カロリーの範囲内で、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの栄養素をいろいろな食品からバランス良く摂取することが重要です。
1日3食きちんと規則正しい時間に食べることも重要で、同じエネルギー量の食事でも、1食だけに集中して食べると血糖の上昇が大きくなります。早食いも血糖上昇につながり満腹感を得られにくくなるので、ゆっくりよく噛んで食べましょう。また野菜に多く含まれる食物繊維は糖の吸収を遅らせ、血糖の上昇を緩やかにします。野菜から先に食べることで食後血糖の上昇を抑えることができます。
食事療法は、継続することが何より重要です。「食品交換表」を参考に、医師や管理栄養士と共に楽しみながら続けましょう。

食品交換表

食品交換表とは、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラルなどのそれぞれの栄養をおもに含んだ食品を6種類に分類した表です。

運動療法

運動療法は、食事療法と並んで重要な糖尿病の治療です。
2型糖尿病のおもな原因は、肥満、過食、運動不足によるものであり、運動によりエネルギーを消費し、肥満を解消・抑制することが重要です。食後30分~1時間頃に運動をすることにより、ブドウ糖の利用が促されて食後の血糖値を下げる効果があります。また、運動を続けることで、インスリンの働きを改善することができます。(インスリン抵抗性の改善)
糖尿病の運動療法は、歩行・ジョギング・水泳などの全身運動にあたる有酸素運動が適しており、頻度は歩行運動なら、1日約1万歩程度、1週間に3日以上の頻度が望ましいとされています。また可能なら運動は食後に行うのがよいとされています。筋力が衰えていると有酸素運動の効果が鈍くなるため、筋力トレーニング(レジスタンス運動)も同時に行うとより効果的です。
ただし合併症がすでに存在する方は、運動療法を禁止あるいは制限したほうがよい場合がありますので、必ず医師のメディカルチェックをうけてから実施してください。運動療法も継続することが何より重要です。無理なく楽しみながら続けましょう。ご家族、仲間同士で一緒に取り組むのもよいでしょう。
三重県糖尿病協会では年2回(4月:熊野市、11月:鈴鹿市)、「歩いて学ぶ糖尿病ウォークラリー」を開催しています。ご家族皆様で、ぜひご参加ください。(参加可能な健康状態かどうか、主治医に確認の上お申し込みください。)
※トップページの「お知らせ&イベント情報」の欄に募集要項を掲載しています。

経口薬(のみぐすり)

糖尿病の薬物療法は、食事療法と運動療法だけでは十分な血糖コントロールが得られない場合に、補助的な役割を担います。
食事療法と運動療法の代わりになる薬物療法はありません。薬が処方された後も、基本の食事療法と運動療法は必ず続けることが重要です。
※ただし、1型糖尿病など、インスリンを分泌できない病態の方はインスリン注射が必須になります。

糖尿病のタイプや現在の症状、血糖コントロールの状態、合併症などを正確に医師が判断したうえで、どの薬を使うかを決定します。近年、薬の種類が増えて、より副作用が少なく効果的な治療が可能になりました。
自分飲んでいる薬がどういう働きをするのか、どんな注意が必要かなど、正しく理解することが大切です。また、薬の飲み方や量を守らなかったり、自己判断でやめたりしてはいけません。疑問があれば、医師や薬剤師に相談してください。

膵臓を刺激してインスリン分泌を増やす薬

スルホニル尿素薬(SU薬)

膵臓のインスリンを分泌するβ細胞に働きかけて、インスリンの分泌を増加させて血糖値を下げます。その作用は強力ですが、その反面、低血糖をおこしやすいのが特長です。低血糖症状がよく出る場合には、必ず医師に相談してください。

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

SU薬とほぼ同じ仕組みでインスリン分泌を促しますが、作用時間が短いお薬です。食事の直前に飲んで、食後の短時間だけインスリン分泌を促し食後の血糖上昇をおさえます。

小腸からの糖の消化・吸収を遅らせる薬

α-グルコシダーゼ阻害薬(αGI薬)

小腸からの糖の消化 ・吸収を遅らせて、食後の血糖上昇を抑えます。副作用として腹部膨満感や放屁などがあります。腹部の手術歴のある患者さんでは特に注意が必要です。
※単剤では低血糖をおこしにくい薬ですが、他の薬と併用して低血糖が起こった際には、ブドウ糖を内服してください。普通のお砂糖では効果が出ません。

インスリンの働きを高める薬

チアゾリジン薬

脂肪や筋肉などでのインスリンの働きをよくし、ブドウ糖を細胞内にとり込みやすくして血糖値を下げます。体重が増加しやすくなるので、食事療法を厳守すること重要です。

ビグアナイド薬

肝臓に蓄えられたブドウ糖が血液中に出て行くのを抑え、筋肉にブドウ糖をとり込みやすくさせて血糖値を下げます。副作用として、軽い胃腸障害がみられ、重篤なものには乳酸アシドースがあります。このため高齢者、脱水、循環障害を有する患者さん、大量飲酒者、手術前後、インスリン絶対適応のある患者さん、栄養不良、下垂体・副腎機能不全者、肝・腎・心・肺機能障害のある患者さんには使用できません。
※造影CTやカテーテル検査などを受ける際にも、腎機能が悪い場合など、一時的に中止が必要なことがあります。(前後2日ずつ。5日間程度)
シックデイ(調子の悪い時)にも中止する必要があります。

インスリン分泌を高めるホルモンの分解を抑える薬

DPP-4阻害薬

インスリンの分泌を高めるホルモンであるGLP-1を分解するDPP-4という酵素を阻害し、その結果膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を増やし、さらに血糖を上昇させるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制し血糖値を下げます。この作用は血糖値が高い時にだけ働くため、単剤では低血糖をおこすリスクは低いお薬です。

尿から糖を排泄する薬

SGLT2阻害薬

尿の糖排泄を促進し、血糖を低下させます。糖分が尿に出て行くので、カロリーが消費され体重を減少させる効果も期待されます。単剤では低血糖を生じるリスクは低いお薬です。尿路感染症や性器感染症に注意が必要です。また尿量が増加するので、特に高齢の患者さん等では脱水にも注意が必要です。

GLP1受容体作動薬(注射薬)

食事をとると、小腸からインクレチンという消化管ホルモンが分泌されます。そのうちGLP-1は膵臓に働いて血糖値に応じてインスリン分泌を促し、血糖値を下げるよう働きます。GLP1受容体作動薬はこのGLP-1と同じ作用を持つお薬です。血糖低下作用のほか、食欲抑制作用もあり体重の減少も期待できます。1日に2回打つものから週1回打つものまで様々な種類があります。
副作用として嘔気、下痢、便秘等が現れることもあります。

インスリン製剤(注射薬)

インスリンは膵臓から出るホルモンで、主に細胞にブドウ糖をとり込ませ、血糖値を下げる働きをしています。インスリン製剤はこのホルモンの作用不足を補うもので、効き始める時間や効果の持続時間によって様々な種類があります。1型糖尿病だけではなく、2型糖尿病やその他の糖尿病にも広く使われています。
1日1~5回程度、自己注射します。他のお薬と組み合わせることもあります。自己注射が簡単にできるよう、以前に比べ注射針はより細く、より使いやすものが開発されています。

また、皮下に挿入した細いチューブからインスリンを持続的に注入する、持続皮下インスリン注入療法(CSII、インスリンポンプ)があります。血糖コントロールが難しい場合や妊娠中など、より厳密な治療が必要な場合などに使われます。リアルタイムに血糖値を確認しながらインスリンを注入できるタイプの機器も開発され(SAP)、より治療の幅が広がりました。
一度インスリンを使用すると一生インスリンを中止できないという噂を耳にされることもあるようですが、必ずしもそうではありません。必要な時期に適切にインスリン治療をすることによって、膵臓の負担を軽くし、機能を回復させることによって再び飲み薬に戻せる方もたくさんいらっしゃいます。インスリンが必要な時にしっかり使うことが、膵臓の機能を保ち改善し、合併症の発症、悪化を防ぐことにもつながります。
主治医とよく相談し納得のいく治療を一緒に考えていきましょう。

どんなサポートがあるの?

自分に合う医療機関をみつけましょう!

糖尿病治療は継続することが大切です。

  • どんな糖尿病なのか、糖尿病の原因や状態、合併症などを詳しく調べる場合
  • 血糖コントロールがうまくいかない、急に悪化した場合

安定しているときには、お近くの何でも相談しやすい「かかりつけ医」で治療を継続することが大切です。糖尿病は一度発症すると完全に治るということはありません。お薬が必要なくなる状態まで改善しても、食生活の乱れや運動不足、加齢や他の病気などで再び悪化することもあります。
これを放置したために、気づかないうちに合併症が進んでしまうこともよく見られます。健康診断を毎回必ず受け、何か問題があれば、まずはお近くの「かかりつけ医」へ相談しましょう。うまく糖尿病とお付き合いしていくことが、生涯元気に、快適に過ごす秘訣です!
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日本糖尿病協会

日本糖尿病協会は、糖尿病を克服し国民の健康の増進に寄与することを目的に、患者さんならびに一般国民への糖尿病に関する情報配信や療養指導、予防など重要な役割を果たす団体として活動しています。
患者さん、医師・歯科医師、コメディカルスタッフ、市民・企業などで組織されており、全国に会員の患者と医療スタッフで作られた糖尿病「友の会」と、都道府県糖尿病協会があり、連携して事業を行っています。

糖尿病友の会

日本糖尿病協会に加入する糖尿病「友の会」は、糖尿病患者とその家族、医師、看護師、栄養士などの 医療スタッフで作られている会です。
糖尿病の患者の皆さんとそのご家族の方へ、より充実した生活を送ってほしい、病気に負けないで頑張ってほしいという願いから、医師や看護師、管理栄養士、患者さんでつくったサークルが「友の会」です。

  • 全国の病院や診療所にあります。
    こちらからお近くの友の会を探せます
  • 「一般の患者さん」向けだけでなく、「小児の患者さん」「ヤングの患者さん」向けの「友の会」もあります。
  • どなたでも入会できます。
  • 患者さんの生活を豊かにするために、独自に色々な企画をしています。
  • 月刊「糖尿病ライフさかえ」を毎月読むことができます。